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青銅鋳物 Bronze Casting

青銅鋳物(ブロンズ)は、耐食性・耐圧性・機械的性質も良いことから、幅広い分野で利用されている銅合金です。
また靭性(ねばり強さ)も高く、1900年代初頭まで大砲の砲身にも利用されていたので、砲金(ホウキン)やガンメタルとも呼ばれています。

青銅鋳物は、Cu-Sn-Zn系合金の青銅鋳物2種と青銅鋳物3種、またこれに鉛を添加したCu-Sn-Zn-Pb系合金の青銅鋳物1種、6種、7種、8種。
そして硫化物を分散させたCu-Sn-Zn-Ni-S系合金の青銅鋳物11種に分類されます。

CAC402・CAC403は青銅鋳物の中でも耐圧性・摩耗性・機械的性質がよく、青銅の中で最も耐海水性に優れています。
その為、船舶用のブッシュやスリーブ、また一般機械部品に幅広く利用されています。

CAC401、CAC406、CAC407、CAC408は耐圧性・耐摩耗性がよく、水洗金具から機械部品まで幅広く利用されています。
CAC406は青銅系銅合金の中でも最も生産量・流通量が多くメジャーな材料の1つです。
切削性もよく流通量も多いですが、機械的性質はCAC403に劣り、鉛も多く含有されることから水洗金具類としての使用は減少しています。

CAC411は鉛フリー銅合金鋳物として給水用具、給水管用各種部品などに利用されています。

表1. 青銅鋳物の特色と使用例

記号
(旧JIS)
特色 用途例
CAC401
(BC1)
鉛入りの青銅。湯流れ、被削性が良い。 バルブ、注水機、軸受、銘板、機械部品など
CAC402
(BC2)
CAC403に次いで耐食性が高く、耐圧性、耐摩耗性、機械的性質が良い。 ブッシュ、スリーブ、軸受、ポンプ胴体、羽根車、
バルブ、歯車、船用丸窓、機械部品など
CAC403
(BC3)
青銅の中では最も海水に強く、耐圧性、耐摩耗性、耐食性がCAC402よりも若干良く、機械的性質が良い。 ブッシュ、スリーブ、軸受、給水用具、羽根車、
ポンプ胴体、バルブ、機械部品など
CAC406
(BC6)
鉛入りの青銅、生産量も多く比較的入手しやすい。耐圧性、耐摩耗性、
鋳造性が良く、被削性もよい。
給水用具、軸受、ポンプ部品、バルブ、機械部品など
CAC407
(BC7)
鉛入りの青銅。機械的性質がCAC406よりも若干よく、耐圧性、
耐摩耗性、鋳造性が良く、被削性もよい。
給水用具、軸受、ポンプ部品、バルブ、機械部品など
CAC408 低鉛組成の青銅でCAC406よりも鉛量が少ない、しかし機械的性質、
耐食性はCAC406と同等であるが、被削性は劣る。
給水用具、軸受、ポンプ部品、バルブ、機械部品など
CAC411 改正された水道水中の鉛溶出基準に対応できるようにした新たな鉛フリー銅合金鋳物。伸び引張強さはCAC406と同等であるが、被削性は劣る。 給水用具、機械部品など


表2. 青銅鋳物の主要成分(%)

記号(旧JIS) Cu Sn Zn Pb
CAC401(BC1) 79.0~83.0 2.0~4.0 8.0~12.0 3.0~7.0
CAC402(BC2) 86.0~90.0 7.0~9.0 3.0~5.0 -
CAC403(BC3) 86.5~89.5 9.0~11.0 1.0~3.0 -
CAC406(BC6) 83.0~87.0 4.0~6.0 4.0~6.0 4.0~6.0
CAC407(BC7) 86.0~90.0 5.0~7.0 3.0~5.0 1.0~3.0
CAC408 84.0~88.0 4.0~0.6 5.0~7.0 2.0~4.0
記号 Cu Sn Zn Ni S
CAC411 90.0~96.0 3.0~5.0 1.0~3.0 0.1~1.0 2.0~0.6



リン青銅鋳物 Phosphor Bronze Casting

Cu-Sn-P系合金のリン青銅は0.05~0.5%リンを含む銅合金で、リン青銅鋳物2種(JIS記号 CAC502、旧JIS記号 PBC2)とリン青銅鋳物3種(JIS記号 CAC503、旧JIS記号 PBC3)に分けられます。また鋳造方法でも区別され、CAC502Aは砂型、CAC502Bは金型となっています。

CAC502は耐食性・耐摩耗性・機械的性質が良く、特に硬さが他の青銅に勝ります。
その為、歯車、軸受、摺動部品、スリーブ類などの耐摩耗用の機械部品素材として広く利用されています。
CAC503は錫が3%ほど多くCAC502よりも更に硬くなります。

表1. リン青銅鋳物の特色と使用例

記号(旧JIS) 特色 用途
CAC502A (PBC2A)
CAC502B (PBC2B)
耐食性、耐摩耗性、機械的性質が良く、特に硬さが他の青銅に勝る。 歯車、ウォームギア、軸受、ブッシュ、
スリーブ、羽根車、機械部品など。
CAC503A (PBC3A)
CAC503B (PBC3B)
耐食性、耐摩耗性、機械的性質が良く、CAC502よりも更に硬い。 摺動部品、油圧シリンダー、歯車、ライナー、
機械部品など。


表2. リン青銅鋳物の主要成分 (%)

記号(旧JIS) Cu Sn P
CAC502A(PBC2A) 87.0~91.0 9.0~12.0 0.05~0.2
CAC502B(PBC2B) 87.0~91.0 9.0~12.0 0.15~0.5
CAC503A(PBC3A) 84.0~88.0 12.0~15.0 0.05~0.2
CAC503B(PBC3B) 84.0~88.0 12.0~15.0 0.15~0.5



鉛青銅鋳物 Leaded Tin Bronze Casting

Cu-Sn-Pb系合金の鉛青銅鋳物は錫青銅に鉛を多く添加した材料で、錫と鉛の量により鉛青銅鋳物2種(JIS記号 CAC602、旧JIS記号LBC2)、3種、4種、5種に分かれます。

鉛青銅の特徴はなじみ性が良いことで、衝撃を伴う荷重軸受や摺動部品などに良く用いられます。
錫量が多いCAC602などは比較的機械的性質が高く、CAC603は鉛が多くCAC602よりなじみ性がよい、より鉛量の多いCAC604などはよりなじみ性が高く耐焼き付き性が高くなっています。


表1. 鉛青銅鋳物の特色と使用例

記号(旧JIS) 特色 用途
CAC602(LBC2) 耐圧性、耐摩耗性がよい。 ブッシュ類、摺動部品、高荷重用軸受、など。
CAC603 (LBC3) 面圧の高い軸受に適し、なじみ性が良い。 ブッシュ類、摺動部品、高荷重用軸受、など。
CAC604(LBC4) CAC603よりも更になじみ性が良い。 中荷重用軸受など。
CAC605(LBC5) 鉛青銅鋳物の中でなじみ性、耐焼付き性が特に良い。 低荷重用軸受など。


表2. 鉛青銅鋳物の主要成分 (%)

記号(旧JIS) Cu Sn Pb
CAC602(LBC2) 82.0~86.0 9.0~11.0 4.0~6.0
CAC603 (LBC3) 77.0~81.0 9.0~11.0 9.0~11.0
CAC604 (LBC4) 74.0~78.0 7.0~9.0 14.0~16.0
CAC605 (LBC5) 70.0~76.0 6.0~8.0 16.0~22.0



黄銅鋳物 Brass casting

黄銅鋳物は銅に亜鉛を加えた銅合金で、真鍮とも呼ばれています。
Cu-Zn合金系のCAC201(YBsC1)、これに鉛を添加したCu-Zn-Pb合金系のCAC202(YBsC2)、CAC203(YBsC3)があります。

真鍮は利用量の多い銅合金ですが、砂型鋳造品よりも伸銅品の流通量が多くなっています。
一般的に機械部品などは他の銅合金が用いられることが多く、給水などの水周りには耐脱亜鉛性の高いCAC406などが多用されて来ました。
真鍮は継手・金具・配線器具・コネクタ・雑貨などでの利用が目立ちます。

表1. 黄銅鋳物の特色と使用例

記号(旧JIS) 特色 用途
CAC201
(YBsC1)
ろう付けしやすい。
黄銅系の中で最も機械的強度が低い。
フランジ類、電気部品、装飾品、など。
CAC202
(YBsC2)
黄銅鋳物の中で比較的鋳造性が良い。 電気部品、計器部品、一般機械部品、など
CAC203
(YBsC3)
CAC202よりも引張強さが高い。
黄銅系の中で最も機械的強度が優れる。
給排水金具、建築用金具、電気部品、計器部品、一般機械部品、など

表2. 黄銅鋳物の主要成分 (%)

記号(旧JIS) Cu Zn Pb
CAC201
(YBsC1)
83.0~88.0 11.0~17.0 -
CAC202
(YBsC2)
65.0~70.0 24.0~34.0 0.5~3.0
CAC203
(YBsC3)
58.0~64.0 30.0~41.0 0.5~3.0



高力黄銅鋳物 High-strength brass casting

高力黄銅鋳物は黄銅(真鍮)に鉄・アルミ・マンガンを添加し機械的性質を改良した銅合金です。
その名の通り高い機械的性質を示し、特にCAC304(HBsC4)は引張強さ・硬さ・耐摩耗性に優れています。
現在はアルミニウム青銅に置き換わっていますが、耐海水性も良いのでかつては船舶用プロペラにも利用されていました。


表1. 高力黄銅鋳物の特色と使用例

記号
(旧JIS)
特色 用途
CAC301
(HBsC1)
黄銅より機械的性質に優れる、耐食性も良い。 船舶用プロペラ、軸受、弁座、レバー類、船舶艤装品など。
CAC302
(HBsC2)
CAC301より引張強さ・耐摩耗性に優れる。 船舶用プロペラ、軸受、弁座、レバー類、船舶艤装品、一般機械部品など。
CAC303
(HBsC3)
CAC302より引張強さ・硬さ・耐摩耗性に優れる。 摺動部品、大型バルブ、ブッシュ、ギア、カム、シリンダー部品、船舶艤装品、一般機械部品など。
CAC304
(HBsC4)
高力黄銅の中で最も引張強さ・硬さ・耐摩耗性に優れる。 摺動部品、大型バルブ、ブッシュ、ギア、カム、シリンダー部品、船舶艤装品、一般機械部品、耐摩耗板、など。

表2. 高力黄銅鋳物の主要成分 (%)

記号(旧JIS) Cu Zn Fe Al Mn
CAC301
(HBsC1)
55.0~60.0 33.0~42.0 0.5~1.5 0.5~1.5 0.1~1.5
CAC302
(HBsC2)
55.0~60.0 30.0~42.0 0.5~2.0 0.5~2.0 0.1~3.5
CAC303
(HBsC3)
60.0~65.0 22.0~28.0 2.0~4.0 3.0~5.0 2.5~5.0
CAC304
(HBsC4)
60.0~65.0 22.0~28.0 2.0~4.0 5.0~7.5 2.5~5.0

 

 

アルミニウム青銅鋳物 Aluminum bronze casting

アルミニウム青銅は銅にアルミニウムを加えたCu-Al合金で、一見真鍮にも見える薄いグリーンゴールドの色合いをしています。
高い強さと靭性を誇り、曲げにも強く、耐海水性も高いので船舶用プロペラなどに使われています。
また優れた耐食性から耐化学部品や、歯車・一般機械部品など広く適用のある素材です。

表1. アルミニウム青銅鋳物の特色と使用例

記号
(旧JIS)
特色 用途
CAC701
(AlBC1)
機械的性質が良い。耐食・耐摩耗性も良い。 ポンプ、軸受、歯車、バルブなど。
CAC702
(AlBC2)
CAC701よりも機械的性質が良い。耐食・耐摩耗性も良い。 船舶用プロペラ、羽根車、ポンプ、軸受、歯車、バルブなど。
CAC703
(AlBC3)
大型鋳物に適し、引張強さが特に強い。耐食・耐摩耗性も良い。 船舶用プロペラ、羽根車、ポンプ、軸受、歯車、バルブなど。
CAC704
(AlBC4)
単純形状の大型鋳物に適し、引張強さが特に強い。耐食・耐摩耗性も良い。 船舶用プロペラ、羽根車、ポンプ、軸受、歯車、バルブなど。

表2. アルミニウム青銅鋳物の主要成分 (%)

記号(旧JIS) Cu Fe Ni Al Mn
CAC701
(AlBC1)
85.0~90.0 1.0~3.0 0.1~1.0 8.0~10.0 0.1~1.0
CAC702
(AlBC2)
80.0~88.0 2.5~5.0 1.0~3.0 8.0~10.5 0.1~1.5
CAC703
(AlBC3)
78.0~85.0 3.0~6.0 3.0~6.0 8.5~10.5 0.1~1.5
CAC704
(AlBC4)
71.0~84.0 2.0~5.0 1.0~4.0 6.0~9.0 7.0~15.0